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第4回自慢の誕生日

 三月十七日はなんの日か知っていますか?実はこの日はわたしの誕生日。なんとわたしは今年、七十歳になります。自分では精神年齢=十九歳のつもりなのですが、いつのまにか七十歳!ちょっと信じられないような気持ちです。夫は六つ下なので、六十四歳。
 アメリカ人の夫と知り合ったのは、今から四十二年ほど前。当時、二十八歳と二十二歳だったわたしたちは、京都の書店で、アルバイトの店員とお客として出会いました。「京都のバスの路線図を探しています」と、日本語で声をかけてきた彼をひと目見て「わあ、なんてかっこいいんだろう!」とひと目惚れ。以来きょうまでの四十余年、おしどり夫婦です。
 結婚する前に、ハワイ(夫の出身地)で、初めて、彼のお父さんに会ったときのこと。
 わたしが自分の誕生日を伝えたところ「きみは息子の運命の女性だ!」と、大感動するではありませんか。ただの誕生日なのに、いったいなぜ?
 答えはこうでした。
「三月十七日は、アイルランドの偉大な聖人・パトリックの命日なんだよ。アイルランド人やアイルランド系アメリカ人たちにとっては、この日は一年で最も神聖な記念日。そんな日に生まれたきみが、わが息子と付き合ってくれるなんて!」
 このときほど、自分の誕生日を誇りに思ったことはありません。もう亡くなってしまいましたが、彼のお父さんはアイルランド系アメリカ人だったのです。
 こんなエピソードを含めて、夫とのあれやこれやを綴った作品が『空から森が降ってくる』(平凡社)です。王寺町立図書館の書棚で見つけたら、ぜひ読んでくださいね。

小手鞠るいエッセイ第4回自慢の誕生日

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