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第6回お母ちゃんの誕生日

 三月号のエッセイで、わたしの誕生日(三月十七日)の自慢をしたばかりですが、今回は、わたしの母の誕生日の自慢話です。
 母は今年の四月八日に、九十四歳になりました。神戸で生まれて岡山に移り住み、アジア・太平洋戦争をまるごと経験して生き延びた彼女は、職場で知り合った父と結婚して、わたしを産んでくれました。母は当時、父の上司だったそうです。
 彼女の自慢の種は誕生日。それもそのはず、四月八日、と言えば、お釈迦様が生まれた日だからです。おめでたい日に生まれた母でしたが「あたしはあの戦争に、青春時代を台無しにされたんじゃ」が口癖でした。そして、明治男の父親(わたしの祖父)のことをよく責めていました。「高校へ行きたかったのに『女に学問は要らん』言われて、行かせてもらえんかったんじゃ。ひどい父親じゃろ。くやしかった。情けなかった」
 高校へは行かせてもらえなかったものの、母は独学で勉強し、本もたくさん読んでいました。「あたしには、読めん漢字はねえ(=ない)んじゃ」と言って、幼いわたしに、難しい漢字の読み方を教えてくれたものでした。
 気が強くて、前向きで、頭の回転が早くて、美人で、毒舌家。視覚障害がありましたが、それをものともしないで、これまた独学で、三味線と民謡の師範の資格を取り、自宅に生徒を集めて「民謡教室」を開いていました。民謡のコンクールなどでも、しょっちゅう優勝していたようです。
 そんな母に捧げる作品を、わたしはこれまでに三作、書いています。
 絵本『うちのおかあちゃん』と、エッセイ集『お母ちゃんの鬼退治』と、小説『美しくない青春』です。
 みなさん、ぜひ、王寺町立図書館で、うちのお母ちゃんに出会ってくださいね。読めばきっと元気になれる、魔法の三冊です。

小手鞠るいエッセイ第6回お母ちゃんの誕生日

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