かれこれ三十四年ほど、アメリカで暮らしているわたしは、本は「買う派」です。
図書館で借りたくても、日本語の本の図書館がありませんから。
その代わりに、自宅には「マイ・ライブラリー」があります。蔵書は数えたことはないけれど、軽く、千冊は超えているはず。いや、二千冊か。
昔から、本を読むのも、書くのも、買うのも、集めるのも、大好きでした。もちろん今も好き。本が好きだったからこそ、作家になりたいと思うようになったのです。本に囲まれているだけで、幸せな気持ちになれます。だから、図書館も大好き。大学生時代には、京都の図書館でアルバイトをしていたこともあります。
図書館を舞台にして書いた作品は『未来地図』(王寺町立図書館が恋人たちの出会いの場所)をはじめとして、多々ありますが、中でもわたしのお気に入りは『幸福の一部である不幸を抱いて』(幻冬舎文庫)です。単行本のときのタイトルは『誰もいない』でした。
主人公のみずきは、図書館で働いている司書です。
わたしは彼女に、こう語らせています。―今も昔も思っている。ここはわたしの居場所であり、もどるべき場所であり、守るべき領域であり、きっと神様がわたしに与えてくれた大切なテリトリーに違いない、と。
まぶたを閉じていても、迷わずに歩けるくらい、だからわたしはこの町立図書館に馴染んでいる。まるで、わたし自身がこの図書館の壁であり、ドアであり、窓のようだ。この本はあそこ、この本はここ、この本はこの書棚の向こう側、と、本の背と裏についている分類番号を見なくても、わたしにはそれぞれの本の住処がわかっている。
まるで図書館で暮らしている妖精みたいな女性ですよね。もしかしたら、王寺町立図書館にも、住んでいるかもしれませんよ。